PCT出願、国際出願

PCT出願の流れ

いつ・何を検討すればよいの?

外国への出願を考えるきっかけは、発明後に最初に出願するときか、あるいは、日本への出願後の適当な時期だと思われます。このとき、・・・
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PCT出願にするとどんなメリットがあるの?

PCT 出願の流れを理解しにくくする一つの要因として、「PCT 制度に付随するメリットが多い」ことが挙げられると思います。メリットが多いことは良いのですが、その適用条件が複雑であれば、スムーズな管理の流れを阻害してかえって不便を感じる原因にもなるのです。

PCT出願をすれば自動的に享受できるメリットについて挙げてみます。

一度の出願手続(PCT 出願)で、世界各国へ出願したのと同じ効果が得られる。

特許手続の流れでは、「出願日を確保する」ことはとても重要なステップです。各国の特許庁へ手続きすることなく出願日を確保することができるのはとても簡便です。

出願書類の翻訳作業および具体的な出願国の決定を約1年半〜2年半遅らせることができる。

PCT出願を使わない場合には、優先日から1年以内に出願国を決定して、翻訳済みの書類を用意するのが原則です。PCT出願を利用すれば、これらの手続を、優先日から30ヶ月(一部の国では20ヶ月)まで先送りできます。実務的な問題として、出願書類の翻訳や、各国の現地代理人に出願処理を依頼するときに比較的多額の費用が発生します。したがって、こういった多額の費用を支払った後に出願が無駄になってしまうことは是非とも避けたいところです。

130ヶ国以上で特許を取得する機会を留保することができ、機会損失を防ぐ。

優先日から1年経過時に「外国出願をしない」と決めて、その後に、「やっぱり外国でも特許を取得しておけばよかった」という後悔をするケースは最悪です。このようなケースでは最先の優先日を確保しながら外国で特許取得を図る機会を損失してしまいます。PCT出願をしておくことにより、「多額の費用の先延ばし」を実現するとともに、PCT加盟国に対して一定期間の特許取得の機会を留保しておくことができます。

一般的に、ビジネスが進んでいけば権利を確保しておくべき国も次第に明らかになってきます。したがって、費用の支払いを遅くしたり、無駄な投資を避けつつ、必要な外国出願の機会を逃さないという観点から、翻訳作業の着手および出願国の決定を遅くすることにはメリットがあります。

PCT 出願から比較的早い時期に先行技術調査の結果が分かる。

PCT出願により得られる国際調査報告(ISR)は、通常の特許審査とは異なり法的拘束力を持たない調査結果です。しかし、日本国特許庁によるISRは、極めて高品質の調査結果であるといえます。PCT出願では、通常、発明内容が公開される以前の段階で、国際調査報告を受けることができます。不幸にして、非常に強力な先行技術が見つかって以降の手続(出願係属)を断念することになったとしても、その先行文献を知らずに翻訳や各国移行に多額の費用を支出した後に断念するよりも経済的なメリットがあったと捉えるべきでしょう。また、判断が早ければ、技術内容が国際公開によって公開される前に出願取下げの措置をとることによって、「権利が取れないのに技術だけ公開される」という最悪の状況を逃れることも可能です。

もちろん、各国での権利取得を目指して手続を続行する場合にも、引用されるべき先行技術を予め知っておくことは各国での審査の予見性を高める上で役立ちます。

ここで、ISRを受け取った後に付随的な手続(19条補正、非公式コメント、国際予備審査、34条補正)を行うか否かという議論があります。これについてはメリット/デメリットを理解することが重要ですが、少なくとも「必ず行わなければならない」という状況は無い、ということをご理解ください。

優先権主張の手続を1回で行うことができる。

PCT出願では、国際出願時に必要な優先権主張の手続を行います。国際出願時に適式に優先権主張の手続を行えば、各国移行の際には優先権に関する特別な手続が要りません。最近では優先権主張の手続の緩和が進んできていますが、それでも、優先権証明書を各国特許庁へ提出する必要があるとすれば、手続としては面倒です。PCT出願では、国際出願時に受理官庁(普通は、日本国特許庁)へ1回の手続を行えば、その後に優先権主張に関する事務手続から開放されます。

pct出願に関する以上のメリットは、全てのPCT出願で得られるメリットである。

上述のメリットは、「上手」とか「下手」ということはありません。確実な手続によって問題なくメリットを享受できるか、手続を失敗して事故を起こすか、という二者択一的な問題です。
したがって、以上のメリットについては、手続を間違いなく履行する体制が整っているという制約条件下における、完全な費用対効果の議論になります。

以上のものとは異なり、内容の優劣が権利内容に直結するメリットがある。

PCT出願に付随するもう一つのメリットは、all or nothing の問題ではなく、実体的な要素に直結します。すなわち、「特許実務の実力」や「技術の理解」といった要素に左右されます。

そのメリットとは・・・・>> PCT出願の「実体的なメリット」を読む

特許事務所には何を伝えたらいいの?

PCT出願の可能性をご検討のときには、その旨おっしゃってください。そして、既に日本出願を終えている場合には、その最初の出願日を伝えてください。複数の日本出願を済ませてある場合には、それら出願を全部申し出てください。かなり慣れた人でも、優先権の・・・
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